共存する

共存

現在のところ、アルツハイマーを発症してしまったら、一生この病気と付き合っていくことを覚悟しておくこととなります。進行するか否か、また進行のスピードが速いか否かは、治療方法や日常生活での意識、さらに個人差で変わってきますが、どのような状態にあってもこの病気と共存できる方法を考えることが大切ということです。

根治は難しいとされているとはいえ、近年の医療技術や研究の進歩によって進行を抑えたり、少し前までは初期段階での診断が難しかったのを可能にしたりしています。早期に対策を打てばかなり長い期間を患者の主体で送ることができるようになり、老後の生活をより豊かに過ごす方向につながるのです。

そのためには、自分の病気を受け入れて病気と共に生きる方法を考えるようにすること。しかし、症状が発現した初期段階では、患者の認識もまだ多方面ではっきりしていることや、自覚症状として自分では明確ではないことなどから、にわかには受け入れがたいという心理も働くのは無理もない話です。

こうしたアルツハイマーの初期患者に向けた互助グループや支援サービスなどは随所に存在しており、こうしたところに思い切って参加してみると、今の自分を受け入れるきっかけになることもあります。こうしたサービスによって、気持ちの整理やこれから取るべき方法が見えてくることもあるでしょう。

悲観していてはよい結果が生まれないことは、どういった疾患にもよくあることです。たくさんの方が支えてくれるところで1人ではないと思うことができれば、少し楽になれるのではないでしょうか。

少しでも前向きに、少しでも楽しんで過ごすことを目指して、病気と共に生きていく方法を考えましょう。

家族の支え

家族に支えられる

アルツハイマーが進行すると、自分で食事や着替え、排泄といった生活の基本的な行動もとることが困難になってきますから、それらを介護する支えが必要です。その役目は主に家族が負うことが多いですが、こうした介護生活を一緒に歩んでいくことは周囲も覚悟や理解をしておかなければならないでしょう。

人によって進行具合も違い、末期まで必ず進行する病気というわけでもないことや、現在は進行を遅らせる治療法があることなどから、家族がアルツハイマーになる=壮絶な介護生活と直結させるのは尚早です。

患者がまだ自分の身の回りのことができるうち、またある程度の認識能力があるうちに、安全な範囲でできるだけ自分のことや食事の準備などを積極的に行ったり、また趣味や娯楽に打ち込んだりといったアクティブな生活をする方がアルツハイマーには有効とされています。

つまり、家族が悲壮になっていろいろなことを制限し、「世話をしなければ」と凝り固まってしまうことは、患者にとっても窮屈かつさらなる症状の進行にもつながりますし、また周囲の家族が自分自身で重い負荷にがんじがらめになってしまうということも考えられるのです。

家族が世話をできるならそれでもよいですが、進行によってどんどんと負担が増えてくることは否めません。家族の支えは根本的に患者にはなくてはならないものですが、家族の負担が大きくなってしまうと思ったときには、デイケアなど各種介護施設の利用や、老人ホームのシステムにも気兼ねなく頼ることができるのを覚えておきましょう。

生活への支障

生活

アルツハイマーは、脳組織の変異によって神経細胞が脱落してしまう病気ですから、進行すると変異した部分でつかさどっている体の操作や認識能力といったことを蝕んでいきます。

例えば、さっき食べた食事のことを思い出せないといったことは、単純に加齢による脳機能の衰えでもなきにしもあらずですが、その記憶領域が変異してしまったアルツハイマー患者は、思い出せないというよりはわからない状態になってしまうと考えることができます。

その領域が破損してしまっているために、正しく記憶することができないのです。そのため、通常の物忘れでは何らかのきっかけがあれば思い出すことができますが、アルツハイマーの場合はどうやってもその記憶を呼びだすことができません。そのときに起こったことをストックすることが既にできいていないためです。

その他、毎日の習慣でやっていたことを忘れる、ここがどこかわからない、実際に起きていないことや過去の出来事を今起きたと思い込む、さらには家族や知人などよく知っている人が誰かわからないなどといった諸症状が進行によって現れます。

こうなってしまうと、認識や習慣、行動などあらゆる場面で日常的だけではなく社会的にも支障をきたしてしまうこととなり、周囲のサポートによる生活が必要不可欠になってきます。現在は根治できる明確な治療法は確立されておらず、少し前まではこの症状を抑える方法すら広まっていなかったため、症状の進行を眺めながら懸命に生きていくしかなかったのです。

しかし、近年では薬剤の投与によって脳組織が変異することを抑えるという対症療法が可能になりました。あくまで対症療法でしかないのは事実ですが、患者のこれからの人生において少しでも進行をとどめ、自分の脳認識が多く残されているうちに生活を楽しめるように仕向けることが可能になっているのです。

治療対策としては、根治・快方への道が明示されていない以上、周囲の協力や尽力はなくてはならないものとなっています。

脳機能障害

障害

年齢が上がってくるにつれて、何らかの理由で記憶や行動、学習などの能力が低下する症状が出てくることがあります。そういった現象が起こるのにはいくつか原因がありますが、脳以外のところに原疾患を持たない場合は認知症としてそのための治療や対策がほどこされます。

認知症の中でも原因が特定されておらず、大脳皮質などにアミロイドタンパク質が沈着することで起こるアミロイド斑と言われる斑点上の変異や、タンパク質が線維状に変質する神経原線維変化によって神経細胞の脱落が起こるためにさまざまな機能に弊害が出るものがアルツハイマーと呼ばれます。

はっきりした原因は特定されていませんが、いくつかの仮説をもとに研究が続けられているアルツハイマーは、根治できる方法も未だ確立されておらず、現在治療法としては脳組織の変質を抑えるものと、精神症状に働きかけるものという対症療法のみとなっています。

アルツハイマーを患った際には、今さっきのことすら忘れてしまうといった物忘れの域とも取れる現象から、今まで日常生活で習慣になっていたことすらわからなくなったり、文字や物、風景や場所などが認識できなくなったり、さらに進んでいくといつも一緒に暮らしている家族のことすら誰かわからなくなってしまったりといった深刻な状態に陥ります。

こうした脳機能全般の障害がどんどん広がっていくのが機序であり、快方に向かわせる手だてもないため、この症状を患った本人もそうですし、周囲の家族や関係者にも大きな負担がかかるものとなっています。

対症療法や認知能力を衰えさせないリハビリなどに取り組むことと、日常生活で根気よくこの病気と患者自身に向き合うことが大切であり、長期的な介護を想定した上で対策を立てる必要があります。